医療保険適用ロボスーツ、SBMA患者の歩行機能改善でも

AI(人工知能)を搭載したロボットが人を重労働などから解放してくれる。そんなSF小説の中のような話が実現するのはまだ当分先のことだろう。けれども、農場や工場・倉庫で重い荷物を持ち運ぶことを支援したり、「歩きたい」人の思いを受けてそれを助けたりするロボットスーツはすでにある。

様々な場面で人の動きをサポートする。世界初の装着型サイボーグ「HAL®(Hybrid Assistive Limb®)」を生みだしたサイバーダインは、医療および非医療分野において――人が体を動かそうとすると、その運動意思に従って脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わり、その際体表に漏れ出してくる微弱な「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出し――意思に従った動作を実現する各種HAL®を提供している。

そして6月24日、東邦大学は、同大学医療センター大森病院 リハビリテーション科および脳神経内科における球脊髄性筋萎縮症(SBMA: Spinal and Bulbar Muscular Atrophy。Kennedy-Alter-Sung症候群とも呼ばれている)の歩行機能改善を目的とした治療に、都内の大学病院として初めてロボットスーツHAL®医療用下肢タイプが7月1日に導入されると発表した。

下肢タイプのHAL®は、緩徐進行性の神経・筋疾患の進行抑制治療において、歩行機能の改善効果が示された医療機器だという。大森病院では、昨年8月より筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者を対象にそれを導入していて、これからさらに適応疾患を広げて多くの患者の治療を行っていく。対象となる患者は身長150-165cmで、かつ介助または歩行補助具を使うことで10m以上歩行可能な人となる。

今回のロボットスーツを、同病院は症状に応じたより良い治療につなげていくという。HAL®による治療処置は、医療保険が適用される。