大規模グラフ解析性能で世界No.1を持続、SDGs推進に貢献する

近ごろ活発に行われている。実社会における複雑な現象の分析では、対象が大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性)として表現されることが多く、コンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされている。

SNSなどでは「誰が誰とつながっているか」など、関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われる。さらに日本における「超スマート社会」の実現、Society 5.0に向けた取り組みでは、IoTなどで取得された大量のデータをグラフデータに変換して計算機で高速処理することによって、新規ビジネスアプリの開拓が進められている。

それらは新産業の創出とコスト・廃棄物排出の削減との両立、国連による持続可能な開発目標(SDGs)のうち特に9「産業・技術革新・社会基盤」と11「持続可能なまちづくり」の推進に大きく寄与することが期待されているという。理研九大東工大BSC富士通フィックスターズによる国際共同研究グループは19日、スパコン「京」が世界的な性能番付Graph500にて9期連続(通算10期)で第1位を獲得したことを公表した。

多種多様に応用されるグラフ解析性能を競うそれは'10年に始まったものであり、グラフの探索即ち複雑な計算を行う速度TEPS(グラフの辿った枝の数/秒)で評価。計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められる。そこで「京」は全台の約94%となる82,944ノードで、約1兆の頂点かつ16兆の枝から成るプロブレムスケールの、大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功した。

大規模グラフ解析ではアルゴリズムおよびプログラムの開発・実装によって性能が飛躍的に向上するという。上記研究グループはポスト「京」、スパコン「富岳」においても様々な大規模グラフ解析アルゴリズムおよびプログラムの研究開発を進めていく構えだ。