スポーツ観戦をデジタル変革、楽しさとつながりを可視化する

「官民戦略プロジェクト10」における新たな有望成長市場の創出の一つとして、「スポーツの成長産業化」が謳われている。その具体的な目標値として'25年に15兆円、施策として「スタジアム・アリーナ改革」などが掲げられている。

スポーツ庁説明資料(官邸PDF)にあるその改革(コストセンターからプロフィットセンターへ)を進めるためには、スポーツ観戦体験を変革し、より楽しんでもらう、よりチームを好きになってもらう、よりお金を使ってもよいと思ってもらう、何度でも来たいと思ってもらう体験の創造が欠かせない。しかし観客が楽しんでくれているか、チームにエンゲージメントを感じているか、熱狂しているか、再来場を期待しているか――把握する手段が限られている。

応用科学アプローチ、対話法や質問紙法による調査が行われていても、興奮に左右される主観的データの妥当性や信頼性に課題があるという。ウフルは、「スポーツテック&ビジネスラボ(STBL)」活動の一環として、NTTデータ経営研究所および追手門学院大学上林研究室と、IoTによるスポーツ観戦の楽しさ等の見える化に向けた実証実験を行った。

STBLでは「楽しさ、ファンエンゲージメントの見える化」分科会にて、有識者や関係企業と議論を重ね、ITによって観戦者の集中・熱狂・満足などを定量化する手法の検討を続けている。その具体策第一弾として、上記3者はアリーナ立川立飛にて、Bリーグ所属「アルバルク東京」のホームゲームを対象に実証プロジェクトを実施した。

結果、IoTセンサによる観戦者の状況調査に成功。客席のエリア別音声データを収集・解析し、各環境の差を定量的に明らかにした。今回、試合映像との突合により、観戦環境の変化と試合の状況などとの相関分析も実施。これらは客を夢中にさせたゲームシーン・演出の特定など、スタジアム・アリーナを一層魅力的に変貌させていく端緒になるという。