AIを加速、GPUコンピューティングで言葉の壁を超える

'20年に訪日客4000万人。この目標を達成しそうな昨今、IT(情報技術)のさらなる発展とともに、リアルタイム翻訳はスマホアプリなどでもお馴染みとなった。日本人と外国人の言葉の壁を超える手段の1つとして、音声翻訳システムのニーズが高まっている。

日本では「グローバルコミュニケーション計画」(総務省PDF資料)においてTOKYO2020までに多言語音声翻訳システムの社会実装をめざすと謳われていて、より高精度なシステムの開発が急務となっている。一方、世界では音声翻訳システムの高精度化にAI技術のひとつ、ディープラーニングが最も寄与するとして、先進各国でその研究開発が推進されているという。

さくらインターネットは17日、同社の「高火力コンピューティング」が、情報通信研究機構(NICT)の「ディープラーニング翻訳の高度化のための計算機資源の借入」に採用されたと公表した。それはコンピューティングリソースの運用や設備投資のリスクを省き、AIやディープラーニングの性能を追求して競争力を高めたい人のニーズに応える、GPU(グラフィカル・プロセシング・ユニット)による計算リソースサービスだ。

高性能な物理サーバーをクラウド並みの手軽さで利用でき、GPUシステムを手元で動かしているような操作性も実現する。NICTに提供される「高火力」は、計算用サーバー109台、GPU872基、総理論演算性能が約6.09ペタフロップス――。同機構では「VoiceTra」など多言語音声翻訳システムの研究開発と実証実験を行っていて、今回の「高火力」サービスは、ディープラーニング翻訳のインフラとして用いられるという。

同社は、NICTが推進する高精度かつ高速な多言語音声翻訳システムの実現と社会実装を高性能な計算機資源の提供で貢献する。今後も、さまざまなニーズに応えるインターネットインフラサービスの提供を目指していく考えだ。