個人や企業が外国の銀行口座へ送金するとき、あるいは外国から自身の銀行口座に送金してもらうとき、一般的には、金融機関識別番号「SWIFTコード」が求められる。国際金融取引においてそれは、BICコード(事業ID番号)とも呼ばれる、相手方の身元を明確にするものだ。
その事務処理は従来、国際銀行間通信協会のシステムで使われるSWIFTコード、銀行名、都市名、通貨、金額などの情報が自由文で記載されている外国送金依頼書を基に「仕向け」(顧客から送金・振込依頼された銀行)の判定をしていた。担当者は、複数の資料を参照しながら仕向先銀行や経由する銀行を判断する必要があり、大量に処理するためには時間を要していた。
そのため、仕向先判定に要する時間の短縮、業務効率化、事務及び教育コストの削減が求められていたという。日本IBMは、みずほ銀行の外国送金業務において、AI(人工知能)による外国送金仕向先判定支援システムの運用を4月から行っている。同システムは、IBM Cloud上で提供されるサービスを活用していて、両社一体のアジャイル開発により約3ヶ月で運用フェーズに至ったという。
同行における実際の外国送金の依頼内容を学習データとし、Watson Knowledge Studioで作成したモデルをIBM Watsonの自然言語処理に利用することで、自由文で記述された多様な送金依頼書から、銀行名や国名、都市名、SWIFTコードなどを正確に把握し、受取人の取引先銀行を特定、また有識者のノウハウを取り込んだロジックに沿って仕向先を自動的に選定することを実現している。
みずほ銀行は、機械学習による回答精度のさらなる向上、RPA(ソフトウェアロボット)との連携による事務処理の完全自動化も企画していて、日本IBMはData&AIとCloud技術の活用により金融機関のデジタル変革を加速し、業界の発展に貢献していく構えだ。