まもなく日本でもその商用サービスが始まる。第5世代移動体通信規格(5G)は、超高速大容量、超低遅延、多数同時接続が特長であり、次世代産業システムの技術基盤、自動運転などに必須の公共インフラ、遠隔医療用の通信基盤としても活用が期待されている。
5G時代に格別重要となる、遠隔医療や自動運転などのトラフィックを自動的に検知し、信頼度が高く低遅延かつ高速なネットワークに導くしくみ――次世代移動体サービスに関して、東京大学大学院情報学環の中尾研究室、オプテージ、シャープの3者は、通信ネットワークのセキュリティ高度化等に向けた実証実験を8月に開始し、来年3月まで実施する予定だと発表した(実験概要およびイメージ)。
東京大学大学院情報学環にて開発したプログラマブル・ネットワーク・ノード「FLARE」(参考資料PDF)を、オプテージの携帯電話サービス「mineo」ネットワーク上に構築し、FLARE接続モジュールを実装したシャープのスマートフォンを用いて行う。今回の実験では、端末からの通信パケットに付与されたタグ情報を元に、端末やアプリ毎のトラフィック、通信パターンなどをAIが学習することで、トラフィックの内容識別と分類をする。
それにより、中尾研究室は、サービス利用体感の向上や一層セキュアなネットワーク利用を実現する。同時に、インフラに機械学習やAI機能が統合され、高度なネットワーク運用――自動化・セキュリティ高度化・通信効率化・障害予測が可能となる「考えるネットワーク」を通信事業者向けに実現し、ユーザーの要望にキメ細やかに対応するサービスを提供できる通信インフラを具現化する。
5Gを見据え、付加価値の高い移動体通信サービスに必要なテクノロジの実現性を検証する。この度の実証技術は、安定した社会基盤を築くためのより高度で安全なAI技術を活用した「考えるNW」を実現するものとして期待できるという。