世界初のカルガモ高速走行!トラック3台が5G通信にて

交通事故死の大幅削減、交通渋滞の緩和、物流交通の効率化、高齢者らの移動支援。これらを目標にいま日本でも研究開発が進んでいる、自動運転システムは、今年から来年にかけて、その重要基盤にもなる次世代移動通信規格(5G)の実用化とともに、大きな節目を迎える。

計画等を「官民ITS構想・ロードマップ2018」(官邸ウェブPDF資料)で確認できる。ドライバーや運輸事業者が心待ちにしているのは、事故率の低減や生産性アップにもつながる大型トラックの高速隊列走行の実現だろう。今月11日、ソフトバンクは、5Gの新たな無線方式を用いて、新東名高速道路でトラックの「カルガモ走行」に世界で初めて成功したと発表した。

国際団体3GPRが来年3月以降に標準化を予定している、車両間無線通信技術5G-NR Sidelinkによって、人が運転する先頭車両を、後続車両が自動運転で追従する。今回の実証実験は、同社が総務省から請け負った5Gシステム技術検証「高速移動時において無線区間1ms、End-to-Endで10msの低遅延通信の実現」(同省PDF資料)の一環だという。

実験では、「5G-NR」が備えた特長、高信頼・低遅延を活かして、試験区間(約14km)を時速約70kmで走行する3台のトラック車両間で、5Gの車両間通信(4.5GHz帯使用、無線区間の伝送遅延1ms以下)を用いて位置情報や速度情報などを共有し、リアルタイムでCACC(協調型車間距離維持制御)を行った。車両提供および制御実験の協力と支援は、先進モビリティ社による。

一般車両が走行する公道、即ち実用的な環境下で、CACCによる安定した隊列維持に成功した。ソフトバンクは、「5G-NR」に特有な電波伝搬環境や技術的要件を把握するため、3GPRの標準化に先駆けて実証試験を進めていく。トラック隊列走行の早期実現に向けて、今後も技術検証・実証評価を行っていく構えだ。