大容量コンテンツの通信量を9割削減

スマートフォンやSNSの普及、視覚に訴えるマーケティングおよびオンラインチャネルの増加によって動画が一層身近なものになった。昨今、映像をはじめとした大容量コンテンツはエンターテインメントに留まらず、仮想現実(VR)などとも相まって、様々な現場業務でも活用され始めている。

ハイビジョンよりも格段に情報量の多い4K高精細映像を商業施設等に配信したり、品質管理や保安用にAI解析したり、遠隔医療に利用したり、あるいはVR映像を車内に出現させたりといったしくみの実用化が進んでいる。今月11日、TISと、電気通信大学吉永努研究室は、「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」を用いた実証実験を国内三ヶ所で行ったことを公表した。

同技術は、動画やVRコンテンツなどの大容量コンテンツの普及により、増大するネットワークの通信量を削減するために、TISのR&D部門である戦略技術センターと電通大の吉永研究室が共同開発した次世代インフラ技術であり、今回の実験では、この技術を活用した組織内のクローズドなネットワーク環境に動画共有サービスを設置して動画を配信し、最大で92%の通信量の削減を実現したという。

「軽量・高効率な分散協調キャッシュの構成方法」、「階層型キャッシュネットワークでの応用方法」、「大容量データのデータ分割キャッシュ方法」、「携帯電話間の直接通信によるモバイル分散協調キャッシュの構成方法」、「ライブ配信動画のタイムシフト試聴のためのキャッシュ制御方法」について特許出願中である。同技術をInterop Tokyoで披露するTISは次のような方針で成長市場に臨む――。

「企業・団体向けに動画配信する事業者、およびソフトウェアアップデートを提供するベンダーに同技術の提供」、「TISが企画する新サービスへの同技術の採用」、「高精細動画配信や5Gにより高まるネットワーク負荷への対応」