バイオフォトンで紫外線による肌ダメージを測定

肌は日常生活のなかで多様なストレスにさらされ、目に見えないダメージを受け続けている。なかでも紫外線によるそれは深刻であり、肌に日やけを生じさせるだけでなく、蓄積すればいずれシミ・シワ・たるみなどの光老化を引き起こす。

しかしこれまで、紫外線による肌ダメージは、日やけとして赤くなった状態を翌日に評価することでしか定量できず、知らず知らずのうちに受けている肌ダメージはとらえることができなかったという。花王は、肌内部の目に見えないダメージを知り、その蓄積を防ぐことが、肌を美しく保つために重要と考え、長年、肌ダメージの定量方法の開発をめざしてきた。そして今月10日、同社生物化学研究所が新たな評価法を開発したと発表した。

紫外線を浴びた肌には活性酸素種(ROS)が発生し、これが体内の物質を酸化させる。そのうちの過酸化脂質が紫外線による肌ダメージにつながることに着目し、肌内部の過酸化脂質量を推測する手法を検討した。従来、肌ダメージと関連が深い過酸化脂質のみを検出する手法は確立されていなかったものの、ROSや一部の過酸化脂質の発生に伴って、微弱な生体発光「バイオフォトン」が生じることはわかっていたという。

同研究所はその機序を活用――。さらに検討を進めた結果、肌の赤みを生じない程度の弱い紫外線によっても、その強さに応じてバイオフォトンが発生していることを見出した。日やけ状態を翌日に評価することでしか把握できなかったところで今回、紫外線照射1~3分後に発生するバイオフォトン量を測定し、不可視の肌ダメージをも高感度に検出できることを突き止めた。

この度の方法により肌内部の見えないダメージについて理解することは、光老化につながるわずかなダメージの発生や蓄積を防御する技術の開発につながるだろうという。同社の研究成果は4月、「SFRR-Asia 2019」(Ref. 日本酸化ストレス学会)にて発表された。