バイオ
産業廃棄物と二酸化炭素を反応させ資源にする、技術開発をめざす
地球温暖化を招いているとして、世界中でその量を抑制する取り組みが進んでいる。CO2は、動物が生きている限り排出され続ける物質であり、植物などが炭水化物を光合成する素となっている。その均衡を、霊長類たる人間が、文明を維持発展させるために破っている。
ゆえに日本でも、地球温暖化防止行動計画において「講ずべき対策」を環境省が列挙し、経産省を軸に「二酸化炭素回収技術実用化研究事業」(中間評価PDF)が進められている。今月10日、出光興産、宇部興産、日揮の3社は、複数大学と協働して、カルシウム等を多く含む産業廃棄物を活用し、火力発電所や工場から排出されるCO2を資源へ転換する新技術の開発をめざす「CCSU研究会」の3月設立を発表した。
今年から「出光昭和シェル」として燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再エネ、資源事業を国内外で展開していく出光興産。明治時代から地域の発展に貢献しつつ機械、セメント、化学へとビジネスの翼を広げてきた宇部興産。日本初のエンジニアリングコントラクターであり、80年以上エネルギー・化学をはじめ多彩な分野、80か国以上で2万件のプラント系EPC事業を遂行してきた日揮。そして産学が連携――
CCSUとは「二酸化炭素を捕え、利用しつつ貯留する」英文略であり、同研究会は、低炭素社会の実現に向けたCO2の固定化と利用に関する新たな技術の開発を目的とする。3社のCO2削減へ向けた長年の知見や技術開発力と、今回参画する各大学が有するトップクラスの研究力を集結させ、気候変動対策及び資源の確保に向け、その開発を迅速に進める。
新技術開発のコンセプトは、「カルシウム等を多く含む産業廃棄物を活用し、二酸化炭素と反応させて炭酸塩化および高付加価値化する」ものであり、CCSU研究会は、さらにこの炭酸塩や金属イオン抽出後の残渣を、建築・土木材料、各種工業材料等の資源として活用することを目指す。