「手ぶらで決済・電子署名、利用者にも便利な世界初の認証基盤を実用化」

街角のATM、個人のPC・スマホにも生体認証のしくみが増えている。近年、電子商取引やネットバンキングが盛んになるにつれて、情報漏洩を防いだり、デバイスの紛失に備えたり、システム提供者と利用者双方に一層のセキュリティ対策が求められている。

利便性を損なうことなく、生体認証をより安全に実現することの重要性がさらに高まっているという。日立ソリューションズは、指静脈認証システム「静紋シリーズ」の提供に加えて、日立製作所の特許技術である公開型生体認証基盤(PBI)を応用した世界初のソフトウェア製品「バイオメトリック・シグネチャ・サーバ」を6月11日から販売する。

同製品では、生体情報から作成した公開鍵を初回に登録しておけば、都度秘密鍵を生成し、安心安全に生体認証を行える。サーバやクライアント、ICカードやスマホ等に生体情報の保存は不要。公開鍵は、PKIを利用している従来システムとも親和性が高く、連携が容易――。事業者は、生体情報の漏洩リスクを回避でき、オンプレミスに加え、クラウド上でも同製品を利用できる。

既存のPKI基盤と連携することで、複数の事業者と幅広い用途で生体認証を共用できるようになる。そのうえ利用者にとっても、物理媒体が不要となるので、手ぶらで決済や電子署名など、利便性が向上する。今回のソフトウェアについて、まず多数のユーザーがいる指静脈認証に対応していて、今後はその他の生体認証にも適用していく予定だという。

日立ソリューションズは、生体情報そのものを管理することがリスクとなっていた金融機関やPKI認証機関を中心とした社会インフラを支える幅広い分野の顧客に、安心、安全な生体認証環境を提供していく構えであり、11日、同ソフトウェアと日立システムズの総合経費管理システム「Traveler'sWAN」を連携させたデモンストレーションを「日立セキュリティフォーラム2019」にて実施する。