国連が主導する地球規模での産業、社会、自然および文化にわたる「持続可能な開発目標(SDGs)」。17あるそれらと、人類の進化および文明の発達を並立させるためにも、自動車関連産業の果たす役割は、近ごろますます重要になっている。
自動車の燃費向上、CO2排出量削減を目的として車体軽量化の要求が高まっていて、自動車用部材への各種アルミニウム合金の適用が拡大している。近年、自動車の組み立て工程において、高速、高品質溶接が可能で生産性の向上が期待できるファイバレーザ溶接は、必要不可欠な技術となっている。が従来、アルミニウム合金の溶接に克服すべき技術課題があった。
一見良好な溶接外観であってもビード(接合部にできる盛り上がり)の割れや、金属内部に溶接欠陥――ブローホール(溶接時に生じるガス等による気孔)が発生しやすかったという。古河電工は今月7日、自動車用アルミニウム合金の溶接欠陥を大幅に抑制するファイバレーザ溶接技術を開発したと発表。同技術により、自動車用車体の軽量化による燃費向上、CO2排出量削減に大きく貢献するという。
同社は、自動車用パネル材・構造材としての適用が拡がるアルミニウム合金の高品質レーザ溶接技術を開発。かねてより開発を進めていたビームモード制御技術と、溶接条件の最適化によって、アルミニウム合金の溶接欠陥を大幅に削減した。たとえば6000系アルミニウム合金(t2mm)の重ね溶接では、従来条件の溶接部ビード外観はうろこ模様、断面にはブローホールが多く見られる。一方、新技術を用いた場合――
溶接部ビード外観は滑らかで、その断面には溶接欠陥のないことがわかる。今回の技術開発により、古河電工は、自動車産業への同社ファイバレーザ導入を加速するとともに、引き続きファイバレーザの溶接技術向上に取り組んでいく。新技術に関しては千葉事業所内レーザアプリケーションラボにて導入検討が可能だという。