産学連携、純国産の骨再生誘導材が承認され歯科・口腔外科に

近ごろセレブや芸能人だけでなく、一般人にもその輝きや並びが重要視されている。歯は、その周囲を健康な骨で囲まれてこそ十分に機能を果たす。ゆえに骨欠損(歯を支えるべき周囲の骨や顎の骨がなくなること)が生じると、さまざまな障害・不具合が起こる。

咀嚼障害(物が噛めない)、審美障害(見た目が悪い)、構音障害(言葉がうまく伝わらない)などの原因となる。骨欠損を伴う疾患が実際に多くみられる。歯科・口腔外科ではそれらの障害が明確な場合、本来骨であるべき部分に再び骨組織を作る「骨再生」が行われる。現在、多くの"人工骨"が商品化されているものの、医療現場で最も信頼されるのは自家骨移植――患者自身の健康な骨を病変部の治療に用いる方法だという。

東北大学大学院歯学研究科および医工学研究科教授らと、東洋紡は共同して、歯科・口腔外科領域の骨欠損を対象とした骨再生誘導材を製品化することに成功。これを産学連携で実現した純国産医療機器、「ボナーク®(Bonarc®)」として、今秋から販売開始すると6月7日に発表した。東洋紡が商標登録した同商品は、国際市場においても関心が高いという。

両者は、「東北大」発の骨再生誘導材(オクタカルシウムフォスフェート・コラーゲン複合体(OCP/Collagen)による歯科口腔外科領域の骨欠損修復を目標として、2015年より東北大学を含めた全国9施設の治験協力施設での臨床試験を進めてきた。そして今年5月29日、厚生労働省より製造販売承認を取得し、製品化を成し遂げた。

国際的にも強い関心が寄せられる。ボナーク®(Bonarc®)は、今後の展開が期待される商品であり、その研究開発の一部は地域イノベーション戦略支援プログラム「知と医療機器創生宮城県エリア」の支援を受け、製品化までの工程では「東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)」のサポートを受けていたという。