情報通信技術を全面的に活用して、建設にかかるシステム全体の生産性向上を図る、それによって、魅力ある建設現場をめざす取り組み「i-Construction」を国土交通省が進めている。
建設機械の自動運転では、大量の映像データや、操縦指示など信号・情報の送受信用に、無線通信システムの構築を要する。そしてその多くはWi-Fiであるため、通信速度・容量の不足、通信範囲(見通しが良い場所で半径約50~100m)を広げるための多数アンテナの設置といった課題があるという。
今月5日、i-Construction推進コンソーシアムのメンバーでもある大成建設は、ソフトバンクとともに、第5世代移動通信規格(5G)システムを用いて、大成建設が開発中の遠隔操作と自動制御が可能な建設機械システム「T-iROBOシリーズ」の連携に成功したことを発表した。両社は、上記課題を解決するために、ソフトバンクが開発した可搬型設備「おでかけ5G」を建設現場で初めて活用し、検証を行った。
三重県東員町の実験場に「おでかけ5G」基地局(1基)を設け、局地的な5G環境を構築。自動制御式のバックホウ(土砂掘削・積上)とクローラーダンプ(運搬・排土)に「おでかけ5G」送受信装置を搭載し、現場操作室と、大成建設技術センター(神奈川県横浜市)を有線ネットワーク(VPN)で接続して、各所から、建機の自動運転操作のほか、建機搭載カメラの映像伝送を試験した。
結果、通信範囲はWi-Fiの倍、大容量の映像および制御データをスムーズに処理し、映像の遅延時間は1/10以下となった。建設現場における土砂の掘削・積上・運搬・排土に至る一連の作業について、高精細映像で状況を把握し、建設機械間の制御と同時に安全も監視しながら、現場作業を実施できた。今回のしくみは各種建機の自動化実現に向けて実験が重ねられ、将来的に建設現場での省人化に繋げられるという。