難路も走行できる搬送ロボット、建設現場の作業効率アップに

多くの組織が生産性向上や業務の効率化をめざしている。日本では近年、さまざまな業種で就業者の減少による人手不足が深刻化している。建設業ではさらに、現地生産が基本であるため、作業の標準化が難しく、生産性の向上は容易ではない――

建設現場においては、工事の進捗に合わせて作業環境が日々変化するだけでなく、狭くゆとりのない通路や段差などの環境が資機材搬送の生産性を阻害する要因になっているという。東急建設と、THKは、建設現場の資機材搬送を自動化するロボットを共同開発中であり、その実証実験を行っていることを今月4日公表した。

その導入により、作業効率の約30%向上(現状7名なら5名にして2名を他の作業に配置)を目指している。「建設現場用搬送ロボット」は、段差や粉じんのある環境で行われる資機材の搬送作業を自動化するためのもの。日々刻々と変化する建設現場に対応するために、プログラミングの知識がない現場作業者でも、搬送経路の設定が素早く簡単にできるTHK独自の自律移動制御システム 「SIGNAS」 を搭載している。

同ロボットは、ステレオカメラで経路周辺に設置したサインポストの距離と方位を計測。サインポストを移すだけで素早く簡単に変えられる目標経路を走行するよう、軌道を修正しながら移動する。左右輪を独立した高出力モータで駆動し、前進、後進、旋回の動作をスムーズに制御。障害物を検知するLRF(レーザレンジファインダ)とバンパセンサを搭載し、進行方向が妨げられた場合でも安全に停止する。

都内の大規模マンション工事現場にて、台車に載せた1トンの資機材を牽引しながら鉄板の段差を乗り越え、物の配置などの周辺環境が変化しても安定した走行ができることを確認している。同ロボットについて、両社は、来春の商用化を目標に引き続き開発を進めていく。商用化の際には、建設現場への導入が容易なレンタルで提供する予定だという。