作業現場IoT、ヘルメットのデバイスで健康と安全を"見える化"

建設就労者の減少、現場の作業者の高齢化が進んでいる。日本国内の建設業界では、これまで以上に安全で快適な作業環境を整備する必要性が高まっている。さらに、地球温暖化に起因すると見られる異常気象への対応も迫られている。

近年打ち続く酷暑によって、作業者が熱中症になったり、過労や体調不良になったりする。そのような状態になるまで、作業環境の悪化に気がつかないことが、建設現場で問題になっているという。村田製作所戸田建設は、建設作業者の生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を共同開発。6月3日に販売を開始した。

両社が昨年8月より改良を重ねてきたという。同システムは、センサ技術とIoT(モノのインターネット)を活用し、作業者の生体情報と作業環境をリアルタイムに収集することで熱ストレス(脈拍、活動量、温度、湿度などで総合判断するシステム独自のパラメータ)を把握できる。計測した数値をクラウド上で解析し、アラートを送信することで、現場監督者が適切に作業者の健康管理を行える。

モニタリングシステムは、既存ヘルメット(推奨品:ミドリ安全製)の内バンドに装着する生体情報測定部と、ヘルメット後部に装着する外部環境情報測定部からなる「センサデバイス」(バッテリー内蔵)、データ集約・中継用の「ゲートウェイ」、独自のアルゴリズムでデータを解析し、作業者が危険な状態の前段階だと判断された際にアラートを送信する「クラウド」の主要3コンポーネントで構成されている。

センサデバイスを含めたハードウェア一式とクラウドサービスについて、利用を検討される場合は、村田製作所スタッフが現地に赴き、トライアル導入セット(稼働テスト用として準備)を用いて建築物の構造・高さの確認、電波環境の測定などを行い、導入費用を見積もるという。