医療支援AI、予測精度を最大化した学習モデルにより肝がんを診断

人間の脳の神経回路網を模したニューラルネットワーク。AI系情報技術においては近年、ディープラーニング(深層学習)をはじめとする様々なML(機械学習)が大いに研究され、そのしくみのいくつかは産業や医療分野で実用化が進みつつある。

MLは複数因子を組み合わせる際に関数の最適化を行い、予測能を最大化させるアルゴリズムの作成を可能とする。他方、多要因が組み合わさり発症する様々な"がん"に対し、単一腫瘍マーカーでの存在予測には限界があり、患者背景や臓器の炎症などの情報も統合することが望ましいと考えられる。医学研究において、非常に強力な学習アルゴリズムだが膨大なサンプルを要するディープラーニングの利用は、現実的でないという。

東京大学医学部附属病院と、島津製作所は、患者データに応じて予測能を最大化させる最適な学習アルゴリズムと学習パラメーターを自動抽出するフレームワークを開発。この研究成果により、従来の腫瘍マーカー単一ではなく、臓器の炎症や患者背景などの情報も統合してがんの存在予測を行うことが可能になると5月30日公表した。

肝がんの有無の予測には、腫瘍マーカーの他、背景肝の線維化や炎症、肝炎ウィルスの有無、患者年齢などが重要であることが知られていて、これらに関連する検査項目を含めた16項目の患者データを、上記フレームワークを用いて統合することで、従来の腫瘍マーカーと比較して診断率が飛躍的に向上したという。

様々な手法から、最も予測精度の高いアルゴリズムとパラメーターが抽出され、最適な学習モデルが自動的に作られる。同フレームワークによって1582人の肝がん予測をした。その際の最適アルゴリズムはディープラーニングではない、従来の手法であった。日常の診療で収集される患者情報の有効利用や、同情報を用いた診断支援への応用が期待される。研究成果は英学術誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。