指定避難所の蓄電池を平時にも有効活用する

東日本大震災の経験と教訓を踏まえ、「杜の都」は、災害時に指定避難所として活用される市内の小中学校など196ヶ所に、太陽光発電で充電可能な蓄電池を備えた防災対応型太陽光発電システムを設置した。

同システムは、ふだん太陽光による電力を当該施設へ供給。非常時にはそこで蓄えた電力を照明や防災行政無線、市民の情報受信手段となるテレビなどの電源として活用される。これを運用する中で、平常時に余剰電力が生じたり、災害時に備えて長期に満充電を続けているために蓄電池の劣化が進んだりする問題があった。ゆえに一部の施設のシステムで、防災対応型エネルギーマネジメントによる最適制御の実証に取り組んできた。

が、およそ200ヶ所に上る施設にあるシステムのなかには、通信方式などの仕様が異なるものが多数存在していて、最適制御を全施設に適用できないとか、災害時に電力使用量や蓄電残量などをリアルタイムに収集できず、避難所の運営に活かされていないといった課題があるという。仙台市東北大学、そしてNTTドコモは、蓄電池の最適制御や電力の見える化によって、指定避難所の電力を効果的に活用する体制づくりを行う。

3者は、平常時や災害時に電力を効果的に活用できる体制構築を目標に、5月30日に共同実験協定を締結した。上記課題を解決するために今回、ドコモが実績を有するグリーン基地局の管理・制御技術を新たに取り入れる。共同実験の内容は、「既設蓄電池の仕様調査・改修の検討・動作検証」、「仙台市の市有施設で得られた電力の最適制御の効果検証」、「災害発生時に避難所運営で使用できる電力の見える化」

来年3月31日まで、杜の都にて、共に地域の災害対応力向上と環境負荷の低減に貢献していく。協定を締結した3者は連携して、再生可能エネルギーの利用促進による脱炭素社会への貢献と、災害発生時の電力の見える化による安全安心の取り組みを進めていく構えだ。