発電設備の巡視、ロボティクスと人工知能で自動化へ

紀元前にギリシャの哲学者ターレスが琥珀を布でこすってその力を発見。18世紀には米国の科学者フランクリンが空から落ちてきたそれを瓶に溜め、19世紀になるとそれを作る方法が編み出され、かのエジソンがそれで長時間あかりを灯して以来、文明は電気なくして語れなくなった。

現代社会および産業、市民生活のための最重要基盤である。電力を供給し続ける発電所では、所員が日々、設備の状態をパトロールし、機器の異常といった兆候の早期発見により設備トラブルの未然防止に努め、安定運転に取り組んでいる。大規模な発電所内にある多数の設備を一つずつきめ細かく巡視点検することは、膨大な時間と労力を要し、「安定供給の確保」を大前提に業務を効率化するうえで、大きな課題になっているという。

東北電力は5月28日、火力発電所の設備パトロールを自動化するシステムの構築を目標に、日本ユニシスと、ロボティクスやAI技術を活用して本格的なシステム開発に取り組むことを発表した。昨年度より、それら技術の確認・検証作業に着手し、設備パトロールへの活用可能性について検討を進めてきたという。

9月に廃止した新潟火力発電所4号機の建屋内にて、GPSに拠らず自律飛行できるドローンの有効性や、日本ユニシスの画像解析AIソリューションを活用してドローンの撮像を自動的に解析する手法の有効性も確認した。検証結果などから、設備パトロールをロボットやAI技術で支援することについて一定の手応えを得られたので、今回の発表に至った。

自動化システムは、業務の効率化、設備パトロール手法の多様化、安定運転に資する取り組みのさらなる充実、競争力強化に大きく寄与するだろうという。同社は今後、各機能を充実させる実証試験を進め、新設する上越火力発電所1号機と既設火力発電所での実用化を――。さらに、他の設備産業への展開も見据え、汎用性の高いシステムの構築を目指していく考えだ。