日本の農業は現在、転機を迎えている。農業生産者の高齢化などにより就業人口は年々減少傾向にあるものの、認定農業者の法人化や'09年の改正農地法の施行を契機とした一般法人の農業への参入等により、法人経営体数は'10年との比較で約2倍。増加傾向にある。
そうした流れのもと、圃場の集約が進み5ha以上の大規模な圃場を保有する経営体が増加していることから、運営について、より一層の効率化が求められている。そしてまた農林水産省では、ICT(情報通信技術)を活用した高度な環境制御技術等により高い生産性と大規模経営を実現する次世代施設園芸の取り組み拡大を掲げているという。
NTT東日本は、農業とICTの融合による地域活性化や街づくりをめざし、 「株式会社NTTアグリテクノロジー」(東京都新宿区)を7月1日に設立する予定だとした。新会社は、IoT/AIを活用した高度な環境制御や、環境・生育データ分析による収量予測等を実現する「次世代施設園芸」拠点を自ら整備し、そこで同園芸のノウハウ蓄積――。農業生産者に同園芸のトータルソリューションを提供していく。
NTTグループのICTをはじめ、世界の農業における先端技術を集積させた「次世代施設園芸ソリューション」 確立に向け、農産物の生産や地域の人たちと協力販売を行う「実証ファーム」 としての自社圃場を運営する。まず、山梨県中央市にて'20年4月以降に野菜類の生産を開始する。太陽光型次世代施設園芸となる約1haの圃場については、豊富なノウハウを有する農業法人サラダボウルと協業し、生産・販売・農業経営を行う。
労務管理や経理などの業務でもプロセスデータの統合・相互連携するシステムを活用していく。上記ソリューションにNTT東日本のノウハウを組み込むことで、遠隔マネージドサポートやオンサイトでの故障対応を実現し、農業生産者が安心して利用できる環境の提供をめざすという。