輸入ワインの品質を自動で吟味する
日欧EPA発効により、近所のスーパーマーケットではワイン売り場が拡張され、驚くほど手頃な値段の品が並ぶようになった。以来、それらを端から順に夜ごと試してみて、有機栽培のテンプラニーリョが私の一本となった。そんな消費者に喜びを届ける企業と人の努力、そして苦労は相当なものだろう。
チリ産などコストパフォーマンスの高いワインの輸入数量が増え、日常的にワインを楽しむスタイルが浸透してきたことから輸入ワイン市場は右肩上がり、およそ10年前の1.5~1.6倍(国税庁PDF、課税移出数量グラフ参照)になっているところへ、EU産ワインの関税が即時撤廃されたことにより、同市場はさらに活性化するだろう。現在、輸入ワインの検品は、検査作業員の目視により行われている。
瓶を光に透かしラベルの隙間から液体に微細な異物が混入していないか確認する。検品作業では、経験と熟練の技が求められる。いまの輸入ワイン販売数量で検品するためには、1ラインあたり10名程度のベテラン作業員を要するという。アサヒビールは、NECと共同で、赤外光照明やカメラおよび画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を開発した。
現在の目視による検品作業の品質水準を維持し、さらに「自動検査機」を導入して作業をより効率化することで、今後も拡大を続ける輸入ワインの販売数量に対して、労働力不足への対応も実現しつつ作業の均一化を図り、最適な品質管理体制を確立するという。
今回の検査機では、作業員が同機に瓶をセットして検査を開始すれば約10秒間、瓶が傾斜・旋回する。その際、液体に緩やかな渦流が発生するため、ラベルの陰に隠れた異物まで高精度に検出できる(技術は特許出願中)。あらかじめ各種瓶形状に応じた最適な傾斜・旋回パターンの設定や、赤ワインや白ワインなど液色に応じた最適な光量、撮像タイミングを設定し登録することで、対象品種の自動検査が可能となる。