農業IoT、家畜の健康ストレス管理を実証

近年、畜産農家にて人手不足などが課題となる中、できるだけ人手をかけず家畜の健康と安全を管理する手法への需要が高まっている。子牛や子豚などの家畜の死亡率は出生数全体の約1割に及び、これは様々なストレスに起因する疾病が原因と考えられている。

そのため獣医師の巡回診療に加え、畜産農家自身が常に家畜の健康管理を行える仕組みが求められているという。ホシデン凸版印刷日本全薬工業は3社共同で、凸版印刷が提供する「ID-Watchy® Bio」を活用し、 家畜の活動状況と連携したストレスなどの生体情報の取得により、その健康状態が把握できる「家畜健康管理サービス」の開発に向けた実証実験を開始する。

トータルハードマネージメントサービスの協力下、北海道野付郡の牧場(参考PDF)にて、 5月下旬から子牛の飼育における同サービスの検討を始め、今夏より実証を本格化する。実験では、ID-Watchy Bioの生体センサー「MEDiTAG®」を家畜専用に改良し、それを足や首へ装着することで家畜のストレスなど生体情報を常時取得し可視化する検証をし、映像と生体情報のリアルタイム連動による体調急変等の早期発見を目標とする。

また日本全薬工業が動物用医薬品の研究開発などで培ったノウハウを活かし、家畜の活動状況と生体情報を連携させた取得データの分析を実施――トラクターの走行音で牛のストレスレベルが上昇するなど、活動状況と生体情報の相関による健康状態を把握することで、飼育環境や状況に配慮した家畜の健康・安全管理の実現を目指すという。

3社は、飼育場所に作業者がいなくてもPCやスマホなどから家畜の状態を常時管理できる今回の仕組みを、養豚などへも広げていく構えであり、これによって畜産農家は、体調急変や死亡に繋がるストレス由来の変化を検知し、飼育環境および状況に心を配りつつ家畜の健康と安全を保っていけるという。