特殊詐欺をAI解析、被害の撲滅に向けて

面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振込みその他の方法により、現金等をだまし取る。特殊詐欺は、振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺)などの総称である。

海より深い親の愛情を悪用する犯人らに高齢者がだまされる。オレオレ詐欺によってそんなイメージがついた特殊詐欺だが、人間の欲を刺激する手口も多く、金融商品等取引名目、ギャンブル必勝情報提供名目、異性との交際あっせん名目のそれは若い世代にも狙いを付けていて、今年3月時点の累計で特殊詐欺の認知件数3,426、被害額は62.8億円となっている。

そんな被害状況を専用ページで公開する警察庁は、「ボウハン教室」を開き、「特殊詐欺被害対策」サイト等で最新情報の提供や被害を防ぐための啓蒙活動を行い、関係省庁・機関・団体も警察庁と連携して様々な対策を講じてきたが――。その手口は巧妙化・複雑化していて、認知・被害状況は上記の通りだ。また、金銭的な被害に留まらず、近ごろ人命にかかわる事件も発生した。

そうした状況下で、顧客が電話に出ることに対して不安を感じられるケースが増えているという。NTTグループ(NTTNTT東日本NTT西日本NTT Com)は、特殊詐欺の撲滅に向けて、同グループが有するサービス・技術等を活用し、特殊詐欺解析AIを用いた実証実験を行う。場所は東京都内、期間は今年度第2四半期から数か月の予定。

利用者及び行政機関等の要望の把握、特殊詐欺解析AIの精度向上、端末設置や設置後のアフターフォローなど運用面の確認を目的に実施する。実験では、電話機に接続する特殊詐欺対策アダプタから、録音した通話内容をクラウド上に転送し、専用AIがその内容を解析する。詐欺が疑われる場合に本人や親族ら、予め登録された人に注意喚起メールを送信――。詐欺の危険性が察知可能になるとのことだ。