インフルエンザ診断支援AI医療機器の実用化に向けて

それはインフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であり、高熱、頭痛、手足の疼痛、倦怠感や食欲不振といった症状を呈すが、一般のかぜ症候群とは違い重くなりやすい。高齢者などでは急性肺炎につながる心配がある。

流行性感冒/インフルエンザは、国内でその患者数が'18年に2,000万を超え、過去10年で最大の流行となった。国立感染症研究所の比較表を見ると、今年5週目まで昨年と同様の勢いがあったことがわかる。インフルエンザの現行検査法は、発症後24時間以上経たなければ診断精度が不十分で、およそ6割との研究報告(米国NCBI、全文Oxford Academic)があるという。

AI医療機器ベンチャーのアイリスは、塩野義製薬Beyond Next Ventures2号ファンドを引受先とする12.5億円の第三者割当増資を行った。同社は「匠の技を医療現場に届ける」をミッションに、高精度・早期診断可能なインフルエンザ診断支援AI医療機器を開発。インフルエンザ患者の99%に特徴的なインフルエンザ濾胞(ろほう)を観察してインフルエンザを判定する「匠の医師の目」をAIで再現することを目指している。

厚生労働省『第1回 保健医療分野AI開発加速コンソーシアム』の工程表(PDF)において、'20年「頻度の高い疾患についてAIを活用した診断・治療支援の実用化」が示されていて、第7回のそれでは、「健康・医療・介護領域におけるAI開発・利活用について」(PDF)さまざまな項目が明示されている――なかに、同社が取り組む「医師の熟練の経験・技術の補完」があるという。

アイリスは今回の調達資本をもとに、開発中のインフルエンザ診断支援AI医療機器の薬事承認、保険償還をより早期に目指す。また、先日の第一種医療機器製造販売業許可取得と併せて、医療機器開発で求められる品質および安全管理に対する体制もより一層充実させていく構えだ。