市営地下鉄車内にLTE対応の自立通信型ビジョンシステムを展開

市内の丘陵地帯をゆくグリーンラインよりも長く走っている。横浜市営地下鉄「ブルーライン」は神奈川県藤沢市の湘南台駅から、戸塚、上大岡、伊勢佐木町、関内、桜木町、横浜、新横浜といった主要地点を通り、港北ニュータウンで「グリーン」と併走しつつ、青葉区のあざみ野駅を結んでいる。

ブルーラインでは従来、路線図式およびLEDの案内表示装置を主に使用していて、遅延や運休などの運行情報は車内放送で届けていたという。横浜市交通局へ、NKBとNECは、鉄道車両向け自立通信型車内ビジョンシステムを提供――。現行携帯電話の高速通信規格LTEに対応している、「YS-VISION」と名付けた同システムは、ブルーラインの一部車両で今月より稼働していて、順次拡大していく予定だという。

各車両に設置するNECのデジタルサイネージ装置と、自動動画変換機能を備え広告を一括管理・制御するNKBクラウド(特許第6227688号)で構成されている。今回のシステムは、鉄道会社の運行情報配信システムとも連携し、運行情報や広告といったコンテンツをLTEで直接配信する。これにより、運行情報の即時提供や多様な広告配信を実現し、乗客の利便性向上に貢献する。

自立通信型車内ビジョンシステムは、デジタルコンテンツ配信用の地上設備や中央装置、配線工事が不要であり、新造車両のみならず既存車両にも低コストで導入できる。異なる設定形式の動画コンテンツも自動で設定値の検査と変換が行え、時間短縮とコスト削減、車両ごとのニーズに合わせた広告配信や走行中に受信したニュースなどを適時かつ安全に提供する運用が可能だという。

両社は今後、J-ALERTなど緊急時情報との連動や、電車位置情報との連携によるロングテール企業の広告掲載、第5世代移動通信(5G)時代には、現行ハイビジョンの4倍ないし16倍となる4K・8K画像による高精細な広告表現に取り組んでいく構えだ。