ドローン×AIで太陽光パネルを保守点検

自給自足できるほどの油田がない日本では世界に先駆け、実は40年前から再生可能エネルギーの開発が進められていた。そして近年、固定価格買取制度(FIT)の導入もあり、太陽光発電が一気に普及した。けれども、それも転換期を迎えている。

その歴史と未来の物語は資源エネルギー庁のWebサイトに譲る。再エネのなかでも最も有力な大規模太陽光発電施設(メガソーラー)でさえ、'17年の改正FIT法(参考:同庁PDF)施行後、経営環境が厳しくなり、一層のコスト削減が迫られている。新制度の下、発電事業者はメンテナンスの実施や関係法令の遵守、事業の適切な運営を確保することが求められている。

そこで、NECネッツエスアイは、空撮とAI(人工知能)による自動検知を活用した太陽光パネルの点検サービスを開発、これを6月から提供する。同サービスは、サーモカメラを搭載したドローンでメガソーラーの太陽電池モジュールを撮影し、空撮した赤外線画像を最先端AI技術「NEC the WISE」のひとつ「RAPID機械学習技術」により解析し、レポート提出を行うものである。

これまでの人力撮影と目視点検、レポートの作成を自動化することにより、作業コストを60%以上削減するなど、大幅な費用削減を実現。撮影から異常箇所特定、レポート作成までの時間を1/4以下に短縮し、早期メンテナンスによる安定的な売電収入の確保にも貢献するという。同社はメガソーラーの受注実績の中で蓄積した100万枚以上の空撮データをAIに学習させて今回、異常検知率90%以上を達成している。

顧客の要望次第でドローンの飛行申請、空撮、解析、レポートの自動化に加えて、ロボティクス事業を推進している同社の保守サービス体制を活用し、モジュールのメンテナンスサポートまでをワンストップで提供可能だという。新サービスの第1号ユーザーは横浜市に本社を置く三峯産業の発電所(約2MW)だ。