北の国にて業務プロセス自動化、職員の負担を9割減らす

生活に身近な行政サービスを支えている。自治体は近年、人口減少等による労働力不足を心配している。特に北海道は、今後20年間で20%以上の人口が減少し、道内6割の自治体が人口5千人未満になるとの予測もあり、全国に先立ちその懸念が表面化すると予想されている。

自治体戦略2040構想(総務省PDF)にあるように、人工知能(AI)やロボティクスによって事務を自動処理する、職員が半数でも本来担うべき機能が発揮できる「スマート自治体」への転換が必要だという。道内9自治体の協力のもと、NTT-ATHARPアライズHBANTT東日本の5社は、共同利用型RPA(ソフトウェアロボ)とAI-OCRによる業務効率化の実験結果(PDF)を公表した。

昨年10月から6ヶ月間、北海道、函館市、滝川市、富良野市、登別市、音更町、釧路町、弟子屈町、占冠村を検証フィールドとして、多くの自治体で共通かつ労力を要している定型的な業務を標準化し、「WinActor®」に自動処理させる共同利用型のしくみを構築して実証。行政サービス用の帳票や紙の申請書などを読み取りデータに変換する「AIRead®」をRPAの前処理で用いて、その識字率や課題等を検証した。

総合行政ネットワーク・アプリサービスプロバイダ(LGWAN-ASP)のクラウド基盤を構築して、ネットワーク技術および自治体業務のノウハウを活かし、様々なRPAシナリオを描いて実証試験した。結果、利用者を意識した操作性等に関する課題が抽出できたほか、シナリオによっては職員の作業負荷を最大9割減らせることを確認できたという。

今回、「単価契約の変更契約業務」「ワンストップ特例申請の省力化」「給与支払報告書の入力支援」「要介護認定申請の入力支援」といった業務を対象に検証した。5社は、上記結果をサービス開発の材料として、自治体における業務改善、効率化の支援を検討していく構えだ。