日本の法人向けWAN市場は約6,000億円

経営資源であるデータの処理、記憶、伝送はIT(情報技術)の三大要素。そこに基本ソフト(OS)、業務アプリ、両者の間でデータ管理などをするミドルウェアが加わり、法人向けITシステムが形成されている。

産業や社会のデジタル化が進んでいる今日、単独稼働しているITシステムは皆無であろう。支店や営業所、工場などを有する企業はWAN(広域ネットワーク)を実装していて、高速大容量、低遅延、多数同時接続といった特長を備えた第5世代移動通信規格(5G)が商用化されれば、IoTなどで一層新たなしくみやサービスが展開されるだろう。

今月15日、IDC Japanは、通信事業者が法人向けに提供するWANサービスの国内市場シェアと市場予測を発表した。それによると、NTT Comが同市場の約3割を握って首位。'18年の同市場は前年比成長率6.6%、規模が5,954億円であった。拠点間などを接続するWANサービスはすでに多くの企業に普及しているが、クラウドサービスへの新たな接続需要の急増などによって市場は拡大したという。

大手5社が寡占すれども競争は激化している。市場で最大シェア(28.7%)を持つNTT Comは、積極的な先進技術への取り組みとグローバルビジネス展開、WAN/マネージド/セキュリティ・サービスの一括提供などによって差別化を図りトップを維持している。状況にKDDI(18.0%)、ソフトバンク(14.9%)が積極攻勢をかけていて、NTT西日本(12.2%)、NTT東日本(10.4%)は各地域で高い信頼を獲得している。

これから一層複雑化し、ニーズが多様化していくだろう。企業WANにネットワーク仮想化技術や5Gが新しいアーキテクチャをもたらすと考えられるともいう。市場の現在と未来は同社のレポート、「国内WANサービス市場シェア」「DXにおける通信サービスの市場機会」 にて詳細を確認できる。