情報通信
5Gで高速道路の落下物や逆走車、渋滞、橋の異常等を検知する
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を軸に多彩な分野でデジタル変革が進んでいる。今日ここに人工知能(AI)が加わっていて、高速大容量かつ低遅延データ伝送、多数端末の同時接続が可能な第5世代移動通信規格(5G)でさらなる変革が始まろうとしている。
商用化を目前に控えた5Gシステムについて、総務省は総合実証実験をさまざまな企業・団体に委託(参考資料PDF)、その中の一つ「高密度に展開された端末の多数同時接続通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」で、WCPとソフトバンクは、愛知県の有料道路で5Gを用いた実証実験を行ったと今月12日に公表した。
今回、スマートハイウェイの実現に向けて、パシフィックコンサルタンツ、前田建設および愛知道路コンセッションと協力して実施したという。実験は、①IoTによる橋梁の健全性監視(衣浦豊田道路 牛田料金所付近)、②AIによるインターチェンジ監視(知多半島道路 半田中央IC付近)、③IoTによる渋滞監視(知多半島道路 大府東海IC周辺の上り車線)の3種類。
①では、NOMA(非直交多元接続)とGFMA(グラントフリーアクセス)方式による5G-mMTC(大規模マシンタイプ通信)無線機を試作して、橋桁・橋脚の微小振動を監視する多数の「加速度センサ」データを収集した結果、多点にて特徴的な振動特性をリアルタイム監視できることを確認した。これにより、災害発生時などに異常を即座にリモート検知できると期待される。
②では高精細4K映像を解析して、小物体さえも検出できることを確認した。しくみは落下物や逆走車などを自動検知、安全監視の効率化や異常の見落とし低減などに活用できる。③では従来よりも渋滞状況を精細に検知――、より正確な情報を迅速にドライバーへ提供できるという。両社は今後も5GやIoTを活用した各種検討を進めていく構えだ。