世界初!基地局圏外で1ミリ秒以下の低遅延、5G自律通信に成功

コネクテッドカー、自動運転時代に欠かせない技術となる。高速大容量、低遅延、多数デバイス同時接続を実現する次世代移動通信規格(5G)の商用化が来年に迫っている。

今月11日、総務省から請け負っていた「高速移動時において無線区間1ms、End-to-Endで10msの低遅延通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」(参考PDF)に係る試験を実施した、ソフトバンクは、基地局圏外における5G実験用試作機(5G車載端末)間の自律的な直接通信で、遅延時間が1,000分の1秒以下となる通信に世界で初めて成功(同社調べ)したと発表した。

モバイルブロードバンド基準を開発・推進する国際団体3GPPが、来年3月以降に標準化を予定している5Gの新たな無線方式(5G-NR)の無線伝送技術に基づく車両間直接通信(5G-NR Sidelink)の屋外フィールド試験を実施した結果だという。以前の実験は、基地局からの同期信号を用いて5G車載端末間で直接通信し、基地局圏内で効率的な無線制御を実現していた――が、基地局圏外ではそもそも通信ができない。

そこで今回、基地局圏外でも自律的に直接通信を行う5G車載端末(4.5GHz帯使用)を新たに開発し、基地局圏外で走行中の車両間にて通信試験を行い、その直接通信の遅延が1ミリ秒以下となる低遅延通信を実現した。技術は5G基地局のない地域やトンネルなどを走行中のトラックが、継続かつ安定的に加減速情報や車両制御情報などを車両間で共有することを可能とする。さまざまな活用が期待されているという。

同社は、「5G-NR」の無線伝送技術に基づく車両間直接通信に特有な電波伝搬環境や、技術的要求条件を把握する目的で、車両間直接通信の標準化に先駆けて実証試験を進めていく。さらにトラック隊列走行の早期実現に向けて、引き続き技術検証と実証評価を行っていく構えだ。