複雑かつ多様化する水需要をAI・IoTで予測する

世界に冠たる品質を誇る日本の上水道。そこでは近年、環境意識の高まりに伴う節水機器の普及などによる水使用量の減少、さらには訪日外国人の増加や大規模イベントの開催に伴う季節的・一時的な人口の変動など、水需要の変動要因が多様化・複雑化しているという。

大阪市水道局日立製作所は今月10日、ビッグデータ解析技術や人工知能(AI)を活用した中長期の水需要予測に関する共同研究を開始する。同局が公募した「水需要予測におけるビッグデータの活用技術に関する調査」に日立が応募し、選定されて3月26日に実施協定を締結したものであり、期間は来年3月までという。

「ビッグデータ解析技術やAIを活用した高精度な中長期水需要予測モデルの構築」では後の経営判断に生かせるように、水需要量の変化とその変動要因の因果関係を明確にもし、「水道事業におけるKPIと将来シナリオの検討」、設備統廃合や料金体系変更などによる効果も測る「ケーススタディを通じた水需要予測に基づく経営改善策の立案」を行っていく。

今回の共同研究では、大阪市水道局がこれまでの水需要予測の取り組みで得た知見や保有するデータをもとに、日立の「Lumada」IoTプラットフォームを活用し、多種多様なデータをビッグデータ解析技術やAIなどで解析することで、中長期の水需要を予測する手法の確立をめざす。新たな水需要の要因抽出やモデル構築などを行う、同局はいずれ共同研究を通して得られた分析技術や知見を水道事業に活用していく。

一方、日立は、水総合サービスプロバイダーとして長年培ってきたOT(制御・運用技術)、ITとプロダクトの実績・ノウハウを強みに今般の研究に取り組み、将来的にはその成果の一部を、顧客のデジタル変革を加速する「Lumada」の上下水道事業向け総合デジタルソリューションに取り込み、上下水道事業を担う顧客や、社会が抱える課題解決に貢献していくという。