スマート農業、水稲の生育を診断かつ病害虫・雑草をすばやく防除

人工知能(AI)やロボット、IoTといったデジタル技術およびIT(情報技術)を駆使する。新たなしくみはさまざまな産業分野に広がりつつあり、高齢化と後継者不足などの課題を抱える農業では、営農のスマート化を目標としている。

「未来投資戦略2018」の第2章、官邸PDFの71頁には「データと先端技術のフル活用による世界トップレベルの『スマート農業』の実現」策が描かれている。人手に頼る作業や熟練者しかできない作業も多い状況を、データ共有基盤の整備や先端技術の実装などによって変えていく、輸出促進も視野に、農業に関わる課題解決を図っていくという。

今月9日、NTTデータNTTデータCCSは、AIと画像解析技術を活用し、水稲の生育ステージを診断する「生育診断ソリューション」と、農作物に発生した病害虫・雑草の同定を可能とする「病害虫・雑草診断ソリューション」の試行サービスを1日より始めていると発表した。両社が開発した2種のソリューションは、営農支援プラットフォーム「あい作」のオプション機能として、スマホアプリで、そしてまたAPI連携により提供される。

「生育診断ソリューション」は、圃場をスマートフォン等で撮影した画像からAIが水稲の生育ステージを診断。熟練者の経験に基づく判断を要するステージにて、経験の浅い営農者でも適切なタイミングで施肥等が実施可能となる。適時の追肥は収量の増加や品質向上につながり、収益性の向上が見込める。しくみをコシヒカリで実証したところ、高い精度での診断が確認できていて、今回の試行を通じて、他品種への適用も実証していく。

「病害虫・雑草診断ソリューション」でも、経験の浅い営農者が、それらの発生を初期段階で防除できるようになるという。両社は、同サービスの本格提供に向けて、さらなる診断精度の向上、AIの教師画像データを蓄積していき、農業の効率化と生産性向上に貢献していく構えだ。