農業IoT、ドローンにて無農薬ケール栽培を効率化・持続可能に

農業、漁業、林業、いずれも自然の恩恵を受けながら人々の暮らしと国を支える、重要な産業である。が超高齢化の進む日本では今、それらの事業継続が危ぶまれている。たとえば農業、その就業人口は平成22年の260万人から、8年間で約33%も減少している。

農林水産省Web「農業労働力に関する統計」には、平成30年の175.3万のうち65歳以上の人の割合がおよそ7割、全農業従事者の平均は66.8歳であることが示されている。自社系列の農場がある島根県でも、人口減少に伴う「人手不足」が問題になっている。そのうえ営農現場では長年の経験と勘で育成状態の把握や収穫量の予測をする場合が多く、従業員の高齢化とあいまってそれを継承することが難しくなっているという。

グループ会社のキューサイファーム島根にてケール青汁の原料を栽培している、キューサイは2日、NTTドコモ九州とともに新規事業プロジェクトを開始した。空飛ぶIoTを活用した農場管理で"スマート農業"を実践し、人手不足や専門的知識の継承など、農業における多様な課題の解決を図っていく。プロジェクトでは、NTTドコモのドローン技術を使った解析システムを活用する。

東京ドーム約6.6個分のケール畑を定点観測撮影する、ドローンからの画像を同システムで指標(植物分布・活性度データ)化して、ケールの収穫量予測や病虫害被害の検知などを行う。撮像データを大量に蓄積することで、人の経験値に相当するシステムの精度を向上させていく。従来人が定期的に圃場を巡回し、目視確認していたことを、IoTシステム化することにより、パソコンやスマホ、タブレット端末などで管理できるようになる。

結果として人手不足の解消、病虫害の早期発見、収穫量予測の精度向上が望めるという。キューサイは今後、不良株へのピンポイント肥料散布によるコスト削減、農機の自律走行による作業効率アップも目指していく考えだ。