AIシステムの世界市場、今年は358億ドル規模に

「超スマート社会」や「データ駆動型社会」の実現をめざす。日本では高度IT(情報技術)人材が不足していて、'20年度より小学校でプログラミング教育が必修化される。取り組みの目玉はAI(人工知能)、この先端技術を活かせる人と組織がこれからの産業界を牽引していく。

ワールドワイドでは現在、AIシステムへの投資が最も盛んな産業分野は小売で、自動顧客サービスエージェントやエキスパートショッピングアドバイザーなどのソリューション導入が進む。次に投資額の大きな産業分野は銀行であり、自動脅威インテリジェンス/予防システムや、不正行為分析/調査などにAIを活用。そしてここに組立製造、ヘルスケア、プロセス製造が加わり、今年のAI支出額トップ5を形成する見込みだという。

IT専門調査会社のIDC Japanは、世界全体のAIシステム市場における'19年の支出額が前年より44.0%拡大し、358億ドルに達するだろうとした。さまざまな業界がAIソフトウェア機能を活用するプロジェクトに積極的な投資を行っていて、最新動向分析ガイド(IDC_P33198)では、AIシステムに対する支出額が'22年には792億ドルに拡大、'18年から5年間の平均成長率(CAGR)を38.0%と予測している。

同期間にAIシステムへの支出額が最も急速に拡大するだろう業界は、政府機関(CAGR:44.3%)、個人向けサービス(同43.3%)、教育(同42.9%)。地域別では日本が最も好調(同58.9%)に支出拡大するだろう。AIは米国に続き欧州でも普及かつ定着し始めていて、「導入と支出がともに急増している。欧州企業はAIに実践的に取り組み、試験から実施段階へと移行している」と米国IDCのリサーチディレクターが語る。

「AIは、競争の激しい環境、特に小売や金融といった顧客接点を持つ産業分野において大変革をもたらす要素になっている」