5Gにて映像共有、救急搬送システムを高度化

これまでよりも100倍速い、第5世代移動通信方式は大容量の4K映像を送るのに適していて、低遅延で多数のデバイスを同時接続することも可能にする。次世代技術を用いた通信システムの実用化が間近である。

3月、NECは、5Gを活用した救急搬送高度化ソリューションの実証――NTTドコモ前橋市ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構前橋赤十字病院前橋市消防局前橋工科大学が先月行った実験に、28GHz帯5G基地局(昨春のリリース記事)および5G移動局で構成された無線環境の構築を通して貢献したことを29日に公表した。

今回の試験は、総務省の平成30年度5G総合実証試験を受託したドコモが主体となり「屋外において平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」した成果(参照資料PDF)のひとつ。消防局と病院を軸に作成した試験シナリオは、5Gによる動画配信と、大学が開発した救急搬送支援システムを連携させて、交通事故に遭った人の救急搬送を行うもの。

救急車がドクターカーとの連結点へ急行する間に、患者のかかりつけ医、緊急連絡先、既往歴、現病歴、投薬情報など、上記搬送支援システムで得られた情報をドクターカーと救急指定病院に4Gで伝送し、共有。次に患者の映像や血圧・心拍数グラフなど、診断用画像をまとめた高精細の4K動画を、5G経由でドクターカーと指定病院に伝送し、車上の救急救命医および病院内の医師がそれを即座に共有した。

この度のしくみにより、各医師の指示に基づいた処置を搬送中に施せる。搬送時間の有効活用、適切な処置を行うまでの時間の大幅短縮、救命率の向上が期待できるという。NECは、上記シナリオをベースに救急指定病院に見立てた前橋市役所12階に5G基地局、救急車・ドクターカーにそれぞれ5G移動局を設置し、高速・大容量の通信路を築いたという。