木更津スマートシティ、IoTで鳥獣害対策とジビエ産業活性化

モノのスマート化が家や街で進む。昨今、日本国内では少子高齢化に伴う人口減少、地域の担い手不足や財政的な制約など、従来の経済や社会システムでは立ち行かない様々な課題が顕在化しているという。

千葉県木更津市では、大型クルーズ船の寄航を軸にした観光推進、デジタル地域通貨「アクアコイン」の導入など、地方創生に向けた各種アクションプランの実行により、定住人口、交流人口が増加している。そして更なる暮らしの利便性向上や高齢者の見守り等、これからも多様な課題と向き合いそれらの解決を図ることで、より魅力的な都市をめざしていきたいと考えている。

今春、同市はNTT東日本とともに、ICT(情報通信技術)を融合した産業分野等における課題解決および産業発展を推進するため、実証実験を開始する。地域とともに歩むICTソリューション企業として農業・工場向けIoT(モノのインターネット)パッケージ等、様々なしくみを提供しているNTT東日本と4月より行う、共同実証実験の第一弾は「IoTを活用した鳥獣害対策とジビエ産業による地域活性化」。

産官学の多彩なプレイヤーが、ICTを融合し一次産業、商業、観光、防災、福祉、インフラメンテナンス等の多項目分野で具体的なテーマを決め複数の実証を推進することを目標にしている。両者は今回、同市矢那地域にて農家や木更津工業高専らとともに、赤外線センサーとネットワークカメラによる鳥獣害の検知、地理情報システム(GIS)やIoT向けWi-Fi(IEEE802.11ah)技術等を活用した効率的なイノシシ捕獲を実証する。

それとともに地元猟師(房総山業)、獣肉処理加工場やKURKKU社と連携し、猪肉の処理・加工、流通から販売までの一連工程を担う地域産業の創出・活性化に向けた検討も進めていくという。両者はこの度の検証で得られた知見を木更津エリアのみならず、他の地方都市へも水平展開していく構えだ。