「人生100年時代」を見据え、いつまでも健康で働ける社会の実現を目指す

他の業界からIT化が10年遅れていると言われたこともある医療分野。しかし、クラウドやモバイル、AI(人工知能)などをはじめとするテクノロジーの伸展の波が同分野にも押し寄せたことで徐々に変革が起きている。

政府は現在、住み慣れた地域で安心して質の高い医療サービスを受けながら生活していけるような社会を目指し、地域における医療機関の間で必要な情報連携を進めている。ITを活用したネットワークを構築することで、こうした情報連携を効果的に進め、地域における質の高い医療の提供に寄与する取り組みが産学連携で活発化している。

東京大学とソフトバンクは2019年3月、健康・医療情報の利活用を促進するデータプラットフォームの構築、そのプラットフォームを活用するAIソリューション開発に関する共同研究、成果の社会実装方法の検討を開始するに当たり覚書を締結した。

両者は今後、健康・医療情報を利用した様々な社会問題解決のため、共同研究により得られた成果の社会実装に向けて、2019年秋ごろの提供を目指して準備していく。

「人生100年時代」を見据え、健康・医療情報やライフスタイル情報などの多岐にわたる情報を解析し、いつまでも健康で働ける社会を早急につくることが重要だという共通認識を持っている。IoT(モノのインターネット)やAI、ロボット、シェアリングエコノミーなど第4次産業革命の社会実装によって、人口減少・超高齢化などの様々な社会課題を解決する「Society 5.0」の実現を共同で目指すことで合意しているという。

東京大学は、このデータプラットフォームに今後の研究成果を投入し、ソフトバンクは、セキュアかつ幅広くデータ利活用が促進できるプラットフォームを構築し、このデータプラットフォームを活用した新たなAIソリューションの開発を共同で行う。また、ソフトバンクは、本件に関する事業性調査を東京大学協創プラットフォーム開発と共同で実施していく予定だ。

医療データを含めた個人情報に関わる特殊性が強いことから、東京大学とソフトバンクは、個人情報保護に万全を期し、次世代医療基盤法の趣旨を生かしたデータハンドリングについても、この共同研究の中で対応を進めていくと発表している。