準天頂衛星に導かれ、ドローンが物流トラックを自動離発着

サービス業、運輸・流通業界での人手不足に起因する問題が度々ニュースとなる。労働人口の増加が見込めず、人手不足そのものは様々な業種で深刻化している。日本では近年、「超スマート社会」系テクノロジーやしくみの実現に期待が寄せられている。

内閣府のソサエティ5.0広報Webにあるように、たとえば無人航空機ドローンが物流業界の課題を解消する。離島や山間部、限界集落に商品や医薬品を運ぶそれは、配送拠点と受取手を結ぶ「ラストワンマイル」の効率的な配送を担い、災害で道路網が寸断された時にも活躍するだろう。日本列島上空では今、準天頂軌道衛星「みちびき」4機が、GPS衛星とともにそれよりも遙かに精度の高い測位システム(QZSS)として運用されている。

3月26日、ゼンリンデータコムモバイルクリエイトは、「みちびき」のセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)とドローンの自動飛行技術を組み合わせた複合物流の実証実験を大分県「杵築市山香ふれあい広場」にて先月から計3回行ったことを発表した。今回の取り組みは、内閣府及び準天頂衛星システムサービス社による公募に基づき実施されたものであり、ドローン関連開発の協力はciRobotics社だという。

機体にみちびき測位機器を搭載。CLASとドローンの自動飛行技術を組み合わせ、トラックの荷台からの自動離発着を行い、高精度測位と制御技術を検証した。結果、2月13日の着陸誤差は13回平均で50.3cm、2月18日は21回中33.0cm、3月5日(実験映像:YouTube)は4回検証して平均41.9cmだった。

誤差の範囲は実用的に飛行制御できることを証明していて、車両で配送できないラストワンマイルをドローンが担う複合物流が可能になるという。両社は今後、車両からドローンに引き渡すポイントの特定や、ドローンの安定自動飛行に地図が有効活用されるシステムを作り上げていく考えだ。