世界初!化学プラントの改善に効く、制御パラメータを自動探索

昨今、「大人の社会見学」で人気となっている。大規模な生産設備一式を指すプラントにおいて、化学プラントなど、複数の製造工程を連続的に行うそれを「プロセス系プラント」と呼ぶ。

プロセス系プラントでは、各プロセスの変動によって製造に影響(品質のばらつきや生産量のばらつき)を与える可能性があるため、各工程で綿密な制御を行う必要がある。従来、時間によって複雑に変化する入出力関係を適切に数値化・可視化することが難しかったこともあり、最適な制御パラメータを特定する際、専門コンサルタントが調査・検討を重ねて改善してきたという。

NTT Comは3月26日、横河電機横河ソリューションサービスとともに開発した「プラント向けデジタルツイン」上で、自動探索した制御パラメータ値が、実際の化学プラントの制御改善に有効であることを世界で初めて(同社調べ)確認したと発表。今回の成果は、化学プラントに残っている手動制御の自動化とそれによる省コスト化、生産安定化の実現に向けた第一歩になるという。

3社はこれまで様々な実験に取り組んできた。昨年12月からの共同実証実験では、NTT Comの「時系列アトリビューション解析技術」を用いてディープラーニング(基盤AI:corevo®)で生成された「蒸留塔状態予測モデル」を可視化し、専門家の知見と照らし合わせながら化学プラントの挙動を正しく再現できているか確認しつつ「プラント向けデジタルツイン」を構築――。

横河電機のプラント制御シミュレータを組み合わせた同デジタルツイン上で、状態予測値に加え化学プラントの挙動そのものを摸し、最適な制御パラメータ値を約2,500パターンの中から自動探索した。それが、横河ソリューションサービスの経験豊富なプラントコンサルタントが導き出した結果と一致したという。3社の取り組み内容は4月3日~5日、「第3回 AI・人工知能EXPO」で紹介される。