流通業界初、ZEDIの活用で入金消込業務の負担を軽減するサービスを提供開始

現在、流通業界などの各企業では、企業間の請求・支払業務において資金決済を行う場合、振込などの内国為替取引を行うのが一般的だ。この取引には、全銀ネットが運営する決済インフラである「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」が利用されているが、現状では入金消込業務の負担が課題となっている。

全銀システムでやりとりする振込情報は、固定長の電文であり、主に振込元名義と振込総額しか保持できない。そのため、振込先企業はどの請求内訳に対する振込かを確認するため、膨大な量の請求書を参照しながら、入金消込を行う必要があった。入金消込ができない場合、振込先企業は振込元企業に対して問い合わせを行う必要があり、振込元企業もその問い合わせへの対応が必要となるため、双方の企業にとって入金消込業務の負担が課題となっている。

これに対し、流通システム開発センターや全国銀行協会をはじめとする流通・金融業界関係者は、従来から振込情報の拡充を検討していた。2017年6月に日本政府が発表した「未来投資戦略2017」によってその検討が加速し、2018年12月に新たなシステムとして「ZEDI」を開始した。ZEDIは、金融取引における電文の国際規格「ISO20022」に準拠し、振込情報の電文の長さなどを柔軟に設計・変更することが可能な可変長の「XML電文」を採用。振込情報に請求書番号や請求内訳などのEDI情報の付加が可能だ。

富士通エフ・アイ・ピーは、国内最大規模の流通業界向けEDIサービス「FUJITSU 流通業ソリューション TradeFront(トレードフロント)」シリーズの新たなラインナップとして、企業間の請求・支払業務における、請求情報と振込情報の照合(入金消込)業務の負担を軽減する新サービスを2019年6月から提供開始する。

同サービスは、富士通エフ・アイ・ピーの流通BMS対応EDIサービスなどが持つ商取引情報と、全国銀行資金決済ネットワーク(以下、全銀ネット)がZEDI経由で取得する実入金情報を自動的に照合する。

「TradeFront/6G」などが持つ受発注や請求などの商取引情報と、ZEDIを経由して取得する実入金情報を組み合わせることで、振込先企業が請求情報と振込情報を自動的に一括で照合し、Web画面で参照することが可能。小売から卸・メーカーに対して請求するリベートと、卸・メーカーから小売に請求する売掛金の、双方向の入金消込業務に対応する。このうち、リベートの自動照合は、佐賀電算センターが流通業界向けに2006年から提供を開始し、大手小売業を中心に利用されているリベート管理システム「SDC-Profit 小売業版」の商取引情報を活用する。

振込先企業は、入金消込業務の時間短縮と負担軽減が可能となる。また、振込元企業への問い合わせも不要となるため、これまで問い合わせへの対応が必要であった振込元企業にとっても時間短縮と負担軽減が図れるという。

同サービスの基本料金は月額30万円からで、1接続先あたり月額5,000円からの従量課金となる。3年間で2500社、7億円の売り上げを目指す。