本邦初、CO2ゼロエミッションの都市型通勤電車がゆく

地球温暖化を招いているという、二酸化炭素などの排出量を減らす取り組みが盛んである。世界では化石由来のエネルギー源から、風・水力や太陽光、地熱など、持続かつ再生可能なそれへの転換が進んでいて、モノの生産や消費等で生じる物質の自然界への排出量をゼロにする動きもある。

前者を「サステイナビリティ」、後者を「ゼロエミッション」という。地球上でほかに炭素、主にCO2の総量を人間社会の営みの中で一定に保つ「カーボンニュートラル」というしくみを築くことも重要である。今月25日、東急電鉄は、東北電力東急パワーサプライの協力により、水力および地熱のみで発電した再生可能エネルギー100%による世田谷線の本線約5km及び車庫内における電車運行を開始する。

東急電鉄は「低炭素・循環型社会」に向けた様々な活動(事例PDF)を行っていて、今回の取り組みは、都市型鉄軌道線における本邦初の再生可能エネルギー100%の電力による通年・全列車の運行となり、従来、1年間で東京ドーム約5.2個分=1,263トンのCO2を排出していた世田谷線を「日本初の二酸化炭素排出量ゼロの都市型通勤電車」として運行するものだという。

また、東北電力は、東北・新潟エリアに豊富に賦存(利用の可否に関係なく理論上存在)する再生可能エネルギーを将来にわたり有効活用していくため、再エネ事業の拡大を進めるとともに、顧客の多様なニーズに応えるサービスを充実していく。同社の取次事業者として、東急パワーサプライは、生活者に身近な都市型通勤電車への電力サービスの提供を契機に、将来にわたり沿線生活における多様な環境課題に取り組んでいくという。

3社は、国内における再生可能エネルギー活用の先進的な事例となるこの度の取り組み――再エネ電気の提供体制(概要図PDF)を通じて、今後もサステナブルな「街づくり」を推進し、さらなる沿線価値向上をめざしていく構えだ。