ベライゾン(日本法人:ベライゾンジャパン合同会社、東京都千代田区、以下「ベライゾン」)の国際法務・ポリシー担当最高責任者で、米国インターネットサービスプロバイダー協会(USISPA)の元会長あるトーマス・M・デイリー(Thomas Dailey)が2月18日に来日した。同氏来日に伴い、記者向けにラウンドテーブルを開催し、5Gの先駆者であるベライゾンのこれまでの取り組みおよび今後のサービス展開について説明した。
3つの階層に分けたベライゾンのストラテジー
ベライゾンはEricsson、Qualcomm、Intel、Samsungなどのパートナー企業とともに推進する5Gエコシステムについて、5Gの活用拡大(自動車、工場・製造、エネルギー、医療・健康、メディア・エンターテイメントなどの主要分野)、5G時代に向けた新たな規制のあり方、(IoT/AIなど)、プライバシー管理、東京オリンピック・パラリンピックに向けた5Gにおける国際連携およびサイバーセキュリティポリシーフレームワークなど、5Gについての様々なチャレンジを行っている。
会見でデイリー氏はベライゾン社の戦略について「ベライゾンのストラテジーは3つの階層に分けて考えている。土台にあるのがアメリカにおけるビジネス、そしてアメリカ以外のコネクティビティがひとつの戦略にあります。米国における有線からモバイル通信、5Gまで米国のコネクティビティについて歴史を築いてきた当事者としての役割があります。そして、コネクティビティの上にプラットフォームとしての土台も築いてきました。これまで買収などを通して技術を活用して構築して、さらに、プラットフォームの上にあるソリューションも提供しています。戦略を3つの階層にわけている理由は、ICT事業において3つの階層を持つことが非常に重要だからです」と説明した。
また改めてベライゾンの概要についても紹介した。6大陸に展開するグローバル・ネットワークを持ち、全世界の従業員数は14万4500人に上る。連結営業利益合計は1260億ドル、2016年度通年の設備投資額は171億ドルを計上する。モバイル・ネットワーク契約締結国は200か国以上、サービス提供国は150か国以上である。「フォーチュン500」ランキングでは16位、「フォーチュン1000」へのサービス提供率は99%に上ることも注目したい点である。
さまざまな事業にサービス提供し、金融機関、小売、製造、運輸に対するカバー率は100%に近い。特にアメリカではワイヤレスサービスとして存在感を示し、アメリカ以外ではエンタープライズ向けのコネクティビティのシェアも伸ばす。注力分野についてはデイリ―氏が「ニューテクノロジ、プライバシー、セキュリティは非常に重要な課題点になっている」と述べた。
5Gはローカルからグローバルに導入展開が広がる
注目の話題にある5Gについてはアメリカにおける5Gの現状はコンシューマー向けに大きく報道されているという。デイリー氏は「非常に重要なアプリケーションであり、インダストリアルインターネットにも非常に興味深い活用ができると思っています。アメリカ都市部では既に導入展開されています。今、課題にあるのはローカル、そしてその次にあるのがグローバルです。5G用のアンテナ等配備していくことも必要になるでしょう」と解説した。
製造業における活用はインダストリアルインターネットの提供にデイリー氏は今後の広がりがあると予測する。「製造業メーカーで自社のネットワークを設けることによって、5Gのメリットを活用できます。さらに自社専用のアプリケーションを構築していくことも想定できます」また、モバイルブロードバンドも可能性が高いという。「多くの国でスマホはコスト的に高い状況です。5G時代は安いコストで活用できることによって、より広がりが生まれるでしょう。こうした展開を期待しています」。
また会場からさまざまな質問が上った。そのなかで、5G化が進むであろう中国に対する対抗策について質問を受けると、デイリー氏は「アメリカのマスコミもその話についてはよく議論しています。データへのアクセスと関係してくるからでしょう。中国はAIの発展が早く進むことが予想されていますが、プライバシーと技術の発展が国としての課題にあるでしょう。信頼がない中では技術の発展は難しいものです」と答えた。
最後にデイリー氏はこのようにまとめた。「技術の進化において今はエキサイティングな時代になっています。ドローンテクノロジーを5Gに活用していくことに個人的には興味を持っています。AIのエキサイティングな発展はハード、ソフトの進化によってさらに進んでいくでしょう。アプリケーションにおいてもプライバシーにおける法律、政府も5Gが必須のものになります。だからこそ、5Gは第4次産業革命といわれているのです。今後の展開を楽しみにしているところです」。