本邦初!丸の内は大手町ビルで5G+AIシステムにより避難訓練
間もなく実用化される、第5世代移動通信規格は4Gよりも100倍速い。遅延が少なく、多数端末を同時接続できる特長も備えているため、さまざまな産業やサービス、遠隔診療をはじめとした医療・ライフサイエンス分野や自動運転時代の交通インフラなど、その活用に期待が膨らむ。
3月11日、三菱地所とソフトバンクは、東京・丸の内エリアにおいて、日本初となる5Gを活用した防災訓練の実証実験を行った。東日本大震災時の教訓を活かすため、三菱地所は本社にいる社員を対象に、災害体制自動発令後の行動計画に基づいた初動訓練を実施。大手町ビル内に可搬型通信設備「おでかけ5G」を設置したソフトバンクは、フューチャースタンダード製AI映像解析ソフトを用いたデータ処理システムの検証をした。
「おでかけ5G」で構築したネットワークのMEC(多重アクセスエッジコンピューティング:通信の最適化や高速化をする)でデータ処理――2つの避難所に置いたIPカメラの映像を5Gで伝送し、MECサーバー上でAI処理することで、モニタールームにて「避難所内の避難者数、救護者数、属性(性別、年代等)の判定」「避難所の混雑状況」「顔認証による救護者の識別」「要救助者の検知」などの情報を即座に可視化した。
今回のシステムにより、災害発生時の避難所でのオペレーションが高度化・省力化されて、混雑具合に応じた適切な避難所への誘導や、救護者の適正な人員配置、必要な物資の数・種類の選定など、非常時の判断と対応を円滑に進められる。大規模災害等により既存の通信網が利用できない際にも、早急に安定したローカルネットワークを構築して、エリア防災に役立てられる可能性を確認できた。
三菱地所は未来の都市のあり方を提案すべく、多彩な企業と街を舞台に多様な研究や実証を進める。ソフトバンクと共に次世代通信技術の利用に取り組み、国際都市・東京のさらなる機能向上を目指すという。