つながる車で"見えないものを可視化する"、しくみを5Gで実証する

近ごろ産業および社会インフラ、医療分野などでも注目されている。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」は、高速大容量、低遅延、多数デバイス同時接続といった特長を有する第5世代移動通信方式(5G)により、一層の進化を遂げ、コネクテッドカーの普及等を加速する。

5Gの実用化を目前に控えた今月12日、日産NTTドコモは、この次世代移動通信方式を用いて、「Invisible-to-Visible(I2V)」技術を走行中の車両で活用する実証実験を始めた。車内外のセンサーが収集した情報とクラウド上のデータを統合することで、クルマの前方や建物の裏側、カーブの先の状況など通常では見えないものをドライバーの視野に映し出す――。

「ニッサン インテリジェント モビリティ」を体現するコネクテッドカー技術の一つとして、同社が研究開発を進めている。「I2V」はまた、人々が思い思いの姿に変身したアバターとして活動する仮想世界メタバースにつながる。ネット上に構築されたそれを介して様々なスキルや知識を持った人々、遠隔地にいる知人や家族らを現実世界のクルマとマッチングし、車室内に3Dアバターとして登場させる。

メタバースの人たちと実際にドライブしているかのような体験を共有できる。「I2V」において今回、車内のユーザーと遠隔地にいるユーザーが、互いにリアルな存在感や同乗感覚を得るために必要なUI(ユーザーインタフェース)や、相互会話の有用性などを評価・確認する。3Dアバター伝送と、車内状況の俯瞰映像の外部伝送を、5G通信でリアルタイムに実施する。

実証実験はテストコース「グランドライブ」にて、「NV350キャラバン」ベースの実験車両を5Gでメタバースにつなぎ行うという。両社は今後も、「I2V」の様々な利用シーンを想定した実証実験で協働し、さらに新しいコネクテッドカー体験を提供する技術の研究開発を推進していく考えだ。