肌分析カウンセリングにAIを導入 表情を作る様子から肌深部の状態を判別

ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業は、動画解析やAI技術(機械学習法)を用いることで、新たな分析技術を開発した。表情を作る様子をタブレットで撮影した動画から、皮下組織を含む、肌内部の水分量・粘弾性などを推定する。

皮下組織は、肌の柔らかさやクッション性を維持する役割を担っている。そのため、皮下組織の状態を知ることは、適切なスキンケアアドバイスを行う上で重要だ。しかしこれまで、その状態を知るためには、特別な機器や解析技術が必要であり、店頭で簡便にお客さまの皮下組織を分析することは困難だった。

ポーラ化成工業では、肌内部、特に皮下組織の粘弾性の違いによって、表情を作る際の肌の動き方が異なることを明らかにしている。この発見を基に、肌の動きを解析することで、これまで簡便に捉えることが困難であった皮下組織の状態までも推定しようと考えた。

今回開発した分析技術では、皮下組織の状態を捉えるために表情を作る際の肌表面の動きに着目。20代~60代の延べ300人以上の日本人女性を対象に、表情を作る様子を動画で撮影し、肌の動きの特徴量を抽出。同時に、肌内部の粘弾性を測定できるエラストグラフィなどの専門機器を用いて、表皮、真皮、皮下組織の粘弾性や水分量などの物性値も計測した。これらのデータに対して機械学習法を用いることで、タブレットで撮影した動画から肌内部の状態を推定する方法を構築した。

開発の鍵となったのは、肌の動きの特徴量を抽出する方法。これには、動画から顔の位置情報や肌の動きを正確に抽出できなければならないが、個人や動画によってブレやズレが生じてしまう。そこで、独自にこれらのノイズを取り除く技術を開発し、この課題を解決した。これにより、170万個以上の特徴量を正確に抽出できるようになり、推定法の構築が実現できたという。