2015年12月、金融庁・金融審議会より、企業間の国内送金指図で使用する電文方式について、2020年までに、現「固定長電文」を廃止し、情報量や情報の互換性などに優れた「XML電文」に移行することが提言されている。
そうした中、富士通とみずほ銀行は、2016年12月から実施した実証実験の成果を踏まえ、電子請求(EIPP)と金融EDIを活用した請求支払業務電子化・売掛金消込自動化サービスの共同開発に取り組み、サービスの開発が完了したと発表した。
実証実験では、サプライヤー企業(請求書発行側)およびバイヤー企業(請求書受領側)双方において、請求・支払業務に要する作業時間を大幅に削減する効果が確認できたという。
実証実験に参加した大手企業の財務経理部門では、業務全体のうち、請求および回収に関する事務作業が47%を占めており、中でも紙の請求書発行から入金消込業務に多大な工数を費やしていた。そのため、請求書発行を電子化することで、47%にあたる請求・回収業務のうち約98%の時間が削減され、財務経理部門の業務工数を約半減し、月約2550時間削減できることが確認できたという。また、実証実験に参加した企業65社のうち3社において、月175時間以上の作業時間削減の効果が確認できたとともに、50%以上の工数削減が見込まれている。
サービスの開発完了を受けて、富士通は、2019年4月からサービス提供を開始する予定だ。このサービスは、既存システムに依存しないクラウドサービスであるため、自社の購買システムの大規模改修などが不要なため、導入の初期投資を抑制できるように設計されている。
請求書の電子化により、サプライヤー企業においては、請求書の郵送コストや発行業務工数の削減効果に加え、電子請求書の情報がバイヤー企業からの振込に用いられることで入金消込業務の効率化が期待される。一方、バイヤー企業においては、請求書を電子データで受け取ることで、自社の購買システムでの買掛金との照合が容易になる。また、支払時に当該請求書データを用いて振込を行うことで、サプライヤーからの照会対応負担の削減につながることが期待される。