近年、AIの社会実装・活用が急速に進み経済がデジタル化する中、世界的にAI人材の不足が大きな社会課題となっている。日本でも、2018年12月に内閣府が「人間中心のAI社会原則検討会議」において、人間中心のAI社会原則(7原則)の一つとして「教育・リテラシーの原則」を掲げており、産学官共同でAI人材育成に取り組むことが求められている。
現代社会は地球環境問題、格差の拡大、資源枯渇等、人類の存続に関わる問題に直面している。AIはこれらの問題の解を導き、SDGs(Sustainable Development Goals)で掲げられている17目標を解決し、持続可能な世界の構築するための鍵となる技術と考えられている。
そうした中、日本電気(NEC)は、AI時代(Society5.0)の到来を踏まえ、社会課題を解決できるAI人材を輩出するために「学び」と「実践」の場を提供する「NEC アカデミー for AI」を2019年4月に開講する。同アカデミーは、AIを社会実装・活用する役割を担う社会人や大学生を対象とし、3年間で入学コース100人、オープンコース1000人への提供を目指す取り組みだ。
アカデミーでは、実践経験を通してAI人材としての独り立ちを目指す「入学コース」と、AI人材に必要な知識を選んで習得できる「オープンコース」の2コースを提供。入学コース(1年・昼間通学制)では、第一線で活躍するメンター指導のもと、実際のAIプロジェクトを題材として、AIをビジネスに活用するための実践経験を積むことができる。また、入学者には、AIについて自己学習するための分析環境の提供を行い、学習動画を用いた知識習得や、分析コンテスト「NEC Analytics Challenge Cup」への参加を通した人材交流を行う。
一方、オープンコースでは、AI人材に必要なスキルを習得するための研修プログラムを提供する。AI人材として必要なベーススキルを20日間の短期集中で身につけるためのブートキャンププログラムや、ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力などAI人材に必要な専門スキルを習得するための50の研修プログラムを提供する。
NECは日本の労働生産性を向上させ、国際競争力を高めるためのキードライバーを「AI×人財」と定義し、これまでNECグループで培ってきた育成メソドロジーを大学・大学院や産業界に還元することで、AIを有効かつ安全に利用できる人間中心のAI社会の実現を支援していくという。