レベル3開発支援プログラム、産業機器の機能安全を担保する

ヒト型ロボットが自ら宙返りをする映像を見て驚嘆した。一方で、AIが人間の脳力を超越する技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年に到来すると聞いて不安になった人も多いだろう。けれど人とロボット、スマートな産業機器が共存する世界を拓く動きは今、確実に広がっている。

電子・電気・プログラマブルな機器およびシステムの機能安全に対する国際規格IEC61508。そこには安全性の目標となる4段階のSIL(セーフィティ・インテグリティ・レベル)が規定されていて、人や環境などが関わるしくみ等を提供するメーカーは、製品の適用分野に応じて適切な安全度水準を満たすことが求められる。

現在、新規に機能安全システムの開発に着手する場合、難解な規格の解釈や、マイコン二重化構成の構築方法の習得、サポートを任せられる企業の選定など、技術的困難さが高く多大な負荷がかかる。同システムの構築経験があるユーザーでも、ソフトウェアの認証取得やシステムの機能拡張に伴う再認証など、開発負荷が課題になっているという。

ルネサスは7日、産業機器向け機能安全ソリューションの進化版で世界初となる、IEC61508 SIL3認証取得をサポートする新ソリューション「RX Functional Safety」を発売する。RXv2コア搭載の全マイコンで提供する。これによりユーザーは、認証済ソフトウェアをそのまま使用し、同社のマイコンに依存する機能安全に関するソフトウェアの開発を不要として、ユーザーアプリの開発に集中できるという。

同ソリューションは、①マイコン単体のセルフテストソフトウェアキット、②マイコン二重化構成に必須の相互診断等と、複数ソフトの分離機能で認証を取得したSIL3システムソフトウェアキット、③評価用のリファレンスハードウェア、④ユーザが機器全体で認証を取得するノウハウを記したリファレンスドキュメントで構成されている。