クラウドAIをハイブリッド活用、製造ラインの安全&稼働率アップに

先端ITによる第4次産業革命、データ駆動型のしくみが様々な分野で展開され始めている。製造業では、ものづくりにAI(人工知能)やIoT技術を活用して品質や生産効率などを一層高める取り組みが進んでいる。

今月7日、JFEスチールは、「IBM® Watson」を活用した制御故障復旧支援システム「J-mAIster®」(昨年9月に全製造ラインに導入。各製鉄所で発生したトラブルについて、過去例や所要情報を効率的に検索できるしくみ)により、復旧時間を大幅に短縮するなどの効果が確認されたため、社内の他のシステムとの連携なども視野に、これを本格的に運用開始した。

保全担当者がモバイル端末へ故障に関する質問を音声などで投げると、履歴・日報・マニュアルなどの膨大なデータ群から最適ソースを特定して、類似性の高い情報を検索および分析し、復旧に要する情報をリアルタイム表示する。同システムは、JFEスチール専用のプライベートクラウドJ-OS CloudとパブリックなIBM Cloudを連携させたハイブリッド環境によって、セキュリティー要件を保ちながらWatsonのような最新ITを柔軟に取り込める。

各地区で保管していた報告書や各種マニュアルなどは全社用クラウドストレージ「Box」にて一元管理。暗号化機能によるセキュリティー向上とともに、横串情報共有による円滑な保全業務を支援するしくみを実現している。今回、上記システム導入の効果が高く認められたことをうけて、継続的なデータ蓄積や学習による故障解析・対策の実施、故障対応の技術伝承などの効果も見込んでいるという。

JFEスチールは、商品設計など他業務領域へのIBM Watson活用も考えていて、グローバルなものづくり企業の競争力維持・向上のために、今後もICT(情報通信技術)、AI、データサイエンス等による、さらなる新技術の開発と実用化を進めていく構えだ。