ビッグデータ解析及びAI技術にて、妊婦の病気予防に道筋つく

妊娠高血圧症候群、早産、妊娠糖尿病などは、妊婦に特有な病気である。これらの多くが、遺伝的な要因と環境因子が複合的に相互作用して発症するゆえ、その発症原因を探るためには、日々の環境要因の変化を連続的に把握することが重要である。

が、これまで行われてきた調査票等による環境情報の取得は、半年に1回程度の自己回答方式によるため、取得頻度と精度に限界があった。また、妊婦の血液・尿・歯科検体等に含まれる体内物質の妊娠期間中の変化や、それぞれの病気となった妊婦と健常のまま出産した妊婦のライフログ――健康状態と生活習慣を反映した記録や、体内物質の差異を統合的に解析した研究はこれまでなかったという。

NTTドコモ東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、妊娠期間中に発症する病気の予防・早期発見方法の確立をめざして共同研究を実施し、妊婦の病気の予兆を示すライフログ(バイタルサイン、室温、睡眠、食事・服薬内容など)や体内物質(DNA、RNA、代謝物、細菌叢などに関する情報が得られる)の変動パターンを明らかにした。

参加妊婦302名、4年4か月にわたる共同研究では、ドコモのビッグデータ分析技術および機械学習などのAI(人工知能)技術と、ToMMoのゲノム情報等解析技術および生命情報科学技術とを組み合わせてデータ解析を進めた。結果、次のような成果が得られたという。

1.ライフログや特定の体内物質の変動パターンを見出し、病気を発症しなかった妊婦と発症した妊婦との間で、それが大きく異なることを確認した。成果は、ライフログや体内物質の変動から病気の発症予兆や発症リスクをAIでとらえることで、発症リスクが高い妊婦への生活習慣の改善提案や、産科医らによる早期診療に活用でき、病気の発症を未然に防ぐことが期待される。

2.分娩日が近づくにつれて、血液中や尿中に含まれる特定の代謝物濃度に特徴的な変動のあることが分かった。この成果は、AIによって実際の分娩日を予測することに活用でき、妊婦や家族が出産に向けた計画を立てやすくなる。医療機関では分娩受け入れ態勢を事前に整えられ、より安心安全な出産に貢献できる。

3.妊婦の特定の遺伝子に変異があると、産まれてくる子の出生体重が低くなることが分かった。成果は、低出生体重児が産まれる遺伝的なリスクを把握し、産科医らによる早期診療に活用することで、低体重での出産を防げる――。

共同研究は3月末日で終わるが、ToMMoは、今回培ったノウハウやデータを広く社会に発信するとともに、個別化予防・医療の実現のための基盤開発および解析をさらに進めていく。一方ドコモは、パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の一環として、この度の成果のさらなる検証と実用化に取り組み、ひとりでも多くの妊婦が安心して出産を迎えられる社会の実現をめざしていく構えだ。